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「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の違いとは?

ワインとの組み合わせのコツをご紹介

ナチュラルチーズが人気上昇中

 国内消費量が4年連続で過去最高を更新中というチーズ。中でも「ナチュラルチーズ」が人気上昇中。「プロセスチーズ」よりも値段は高いが、本格的な味わいを求め、ワインに合わせようというこだわり派が増えているようだ。

 近年は国内でも北海道を中心にナチュラルチーズ工房が増えている。だが、実はチーズもワインも産地や種類が様々で個性の強いものが多いため、上手に合わせるのは上級者でないと難しそうだ。組み合わせ次第ではおいしさが台無しになることもある。合わせるコツがあるのでご紹介する。

 特にワインとの組み合わせが問題となるのは、ナチュラルチーズ。

ナチュラルチーズとは

「ナチュラルチーズ」とは、生乳などを乳酸菌や凝乳酵素(※1)で凝固させ、ホエイ(乳清)の一部を除去したもの、または、これを熟成させたものをいう。熟成タイプと非熟成タイプがある。原料となる乳の種類、使用する微生物、加工方法などにより、世界中で1,000種類以上の「ナチュラルチーズ」があるといわれており、フレッシュタイプ、白カビタイプ、青カビタイプ、ウォッシュタイプ、シェーブルタイプ、セミハードタイプ、ハードタイプに分類される。

 熟成タイプは乳酸菌や凝乳酵素の働きによって熟成が進み、時間が経つごとに味の変化が楽しめる。

※1. 凝乳酵素・・・生乳を固める酵素です。通常使われているものは、仔牛の第4番目の胃から抽出される「レンネット」と呼ばれる凝乳酵素です。動物由来のもの以外に、微生物や植物由来のものもあります。なお、酵素はたんぱく質からできている。

 ワイン同様に、生産地の自然環境もチーズの味わいに影響する。季節により、餌の量や活動量も違う為、「食べ頃」が存在しているのもナチュラルチーズの特徴でもある。同じ牛の乳であっても、海に近い場所で生育している乳と内陸部の乳では、チーズの味わいに違いが生まれる。

チーズの本場欧州では、チーズと言えば、通常ナチュラルチーズを指す。これに対し、日本で長く普及しているのは、プロセスチーズ。

プロセスチーズとは

プロセスチーズとは、「ナチュラルチーズ」を乳化剤などを加えて加熱して溶かし、再び成形したもの。製造工程の途中で加熱処理を行うため、乳酸菌は死滅している。そのため、保存中に熟成が進むことがなく、ナチュラルチーズに比べて保存性に優れている。誰の口にも合うよう癖のないまろやかな味わいにしてあるので、合わせるワインのタイプもほとんど問題にはならない。

スライスチーズ・スモークチーズ・繊維状に割けるチーズなど、チーズの形状も様々に開発されているので、用途により選ぶことができる。

 一方、ナチュラルチーズは原料乳や製造工程、さらには産地の違いで、香りも味わいも食感も大きく違う。塩気が強かったり、強烈な香りを放ったりするなど、個性的な味わいのものも多い。日本で売られているのは欧州産が圧倒的に多いが、国内でも高品質のナチュラルチーズをつくるチーズ工房が各地に増えるなど、プロセスチーズに慣れ親しんだ日本人の間でも、ナチュラルチーズの人気が高まっている。

一番簡単なのは、ワインもチーズフランス産同士の組み合わせ

意外にも一番簡単なのは、ワインもチーズもおびただしい種類があるフランス産同士の組み合わせ。風味の相性など細かいことは気にせず、同じ地方のチーズとワインを黙って合わせるのが基本。フランスには各地に文化として根付いているワインとチーズがあり、土地の人たちは、何百年も昔からその組み合わせを楽しんできた。

 例えば、日本でも人気の「サント・モール・ド・トゥレーヌ」や「クロタン・ド・シャヴィニョル」などロワール地方のヤギのチーズには、同じロワール産のソーヴィニヨン・ブランがぴったり。

 ロワールのヤギチーズは、酸味やハーブの香りがあり、フレッシュな味わい。だから、やはり、同じような特徴を持つロワール産のソーヴィニヨン・ブラン種からつくられる白ワインがベスト。赤ワインを合わせるなら、渋みの少ないロワール産のカベルネ・フランやピノ・ノワールからつくられるワインがおすすめ

また、ブルゴーニュ地方のチーズにはブルゴーニュワインを合わせれば間違いない。例えば、ブルゴーニュを代表するウォッシュタイプの「エポワス」は、ブルゴーニュ産のピノ・ノワールからつくられる赤ワインがぴったり。外皮を塩水や酒で洗いながら熟成させたウォッシュチーズは鼻を突くような香りを放つが、口溶けがよいので、口当たりのやわらかなブルゴーニュのピノ・ノワールは最高の組み合わせ。

 例外は「カマンベール」など白かびタイプ。白かびタイプの主産地である北西フランスは気候が冷涼すぎて、昔はワインをつくっていなかった。地元では、特産のリンゴからつくる醸造酒のシードルと一緒に楽しむことが多いという。

 ワインを合わせるなら、ガメイ種からつくられる渋みの少ないやさしい風味の赤ワインが、クリーミーでやさしい味わいの白かびチーズにマッチする。ロゼワインと合わせるのも悪くない。ガメイからつくられるワインの代表は、フランス・ボージョレ地方のワインだ。

 イタリアもフランスに負けないくらいワインもチーズも種類が豊富だ。だが、イタリア人はどちらかと言えば、チーズをパスタやピザ、サラダ料理などにソースの材料やトッピングとして使う傾向が強く、ワインもチーズそのものより料理との相性を重視。

 また、スペインでは、チーズは食前、食後のおつまみとして楽しむことが多く、合わせる酒も普通のワインではなく、食前酒や食後酒として人気のシェリーが定番。

フランス以外のチーズやワインを含む組み合わせは、産地より、風味の相性

フランス以外のチーズやワインを含む組み合わせは、産地より、風味の相性がポイント。一般にはな味わいのチーズには渋みや樽(たる)の香りなどを抑えた優しい味わいのワイン、個性的な味わいのチーズには力強くしっかりとした味わいのワインが合いやすい。

 例えば、塩気の強い青かびタイプは、重厚な赤ワインか甘口のデザートワインを合わせると、口の中で塩気が中和され、よりおいしく感じる。世界三大青かびチーズの一つで、羊乳からつくられるフランスの「ロックフォール」は「カベルネ・ソーヴィニヨン種を主体としたフランス・ボルドー産か米カリフォルニア産の赤ワインのようなタイプが合う」。同じ青かびチーズでも、フランス産の「フルムダンベール」のような味わいが少し穏やかな青かびチーズなら、軽めの赤ワインでも悪くない。

 困った時におすすめなのが、イタリアの「パルミジャーノ・レッジャーノ」やフランスの「コンテ」など、ハードタイプ。長期熟成由来のうま味がたっぷりで味わいもしっかりしているため、重厚な赤ワインともバランスがとれるし、軽い白ワインと一緒に食べると、白ワインをよりおいしく感じさせる効果がある。

 どんなワインにも合うのがハードタイプのチーズなら、逆に、ほとんどのチーズに合うのが、シャンパン。酸味もうま味もあるので、酸味を感じるチーズにも、しっかりした味わいのチーズにも合うし、泡から感じるクリーミーな食感が、白かびチーズのクリーミーな味わいとも合う。唯一、青かびチーズには合わないが、甘口のシャンパンなら青かびチーズとも好相性。

 好みは人によって違うので、いろいろな組み合わせにチャレンジしてみるのも楽しいかもしれない。

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