リコー杯第2日(2019年11月29日 宮崎県 宮崎CC=6535ヤード、パー72)
最終戦、劇的フィナーレへ舞台整う
賞金ランキング3位の渋野日向子(21=RSK山陽放送)は3バーディー、1ボギーの70で回り、通算4アンダーとスコアを伸ばした。首位のテレサ・ルー(32=台湾)との3打差3位は変わらず。8番の弱気のパットを「イモった」と悔しがったが、得意の後半で連続バーディーと巻き返した。同ランク1位の鈴木愛(25=セールスフォース)、同2位、申ジエ(31=韓国)が17位と低迷する中、逆転賞金女王へ勝負の週末に臨む。ツアー本格参戦1年目で国内メジャー2勝目を挙げれば史上初の快挙。しぶこが劇的フィナーレへ、舞台を整えた。
3番の左に管制塔がそびえるなど宮崎空港と隣接する宮崎CC。ライバル2人が低空飛行を続ける中で、しぶこジェットは高度安定飛行に入った。スコアを2つ伸ばし首位と3打差をキープ。「チャンスがある位置にはいるので、次につながるという意味で80点」と渋野は自己採点するも「内容的にはもっと下」と納得はしなかった。
バーディーパットをショートして、「イモっちゃった」
引き合いに出したのは、8番で2・5メートルを30センチショートさせたバーディーパット。「悔しいですね。あの距離でショートするのは一番、ゴルファーとして恥ずかしい」。テレビのインタビューでもこの場面について「イモっちゃった」と苦笑いで振り返った。
4番ではPWでの第2打が右に飛び出す「シャンク」となりボギーとするなど、「前半はショットに苦しんだ」と苦しい胸の内を明かす。流れを変えたのは12番パー3での第1打。それまで体が伸び上がっていたため全部右に行っていたショットが左に飛んだ。
渋野の戴冠は、単独2位以上が最低条件。攻めの一手があるのみの21歳にぶれはなかった。1バーディー、1ボギーで迎えた得意の後半9ホール。「よく飛んでいますよね。きょうもよかった」と自賛するドライバーショットでスコアを伸ばした。
13番(パー5)は出場32選手でトップの263ヤードをかっ飛ばした。
計測ホールの13番(パー5)は出場32選手でトップの263ヤードをかっ飛ばした。残り240ヤードの2打目は3番ウッドでグリーンをとらえた。8メートルのイーグルパットは外したが、楽々バーディー。続く14番(パー4)は7メートルを沈めた。連続バーディーで2日連続で70で回り、首位と3打差の3位をキープ。一方、賞金ランク1位鈴木、2位申ジエは振るわず17位に並んだ。
「寒くても飛距離は落ちないし、むしろこの時期が一番飛んでいるかもしれない。去年のQT(予選会)のときもめちゃめちゃ飛んでいた
「あそこでショットは大丈夫かなと思ったんです」。13番パー5ではピンまで残り240ヤードの位置から2オンに成功し、バーディー。2日間の平均スコアが4・2813で難易度1位の14番パー4では、奥から7メートルをねじ込み連続バーディーだ。難関ホールが続く後半で2日連続ボギーなしは出場32人中、渋野ただ一人。8月の全英女子オープンを彷彿(ほうふつ)させる「バック9のしぶこ」の本領を発揮した。
「いい(11)肉(29)の日。絶対太って帰る」
今季最終戦。重圧と連戦の疲労もピークに達しているが、地元の名産品に舌鼓を打って英気を養っている。「昨日も宮崎牛をいただきました」。この日は11月29日。「いい(11)肉(29)の日。サインとか書いているときに何の日かなと思ってて。でも、今日は水炊きの予定です(笑い)。チキン南蛮、地鶏食べて満喫。絶対太って帰る」とプレッシャーもどこ吹く風だ。
ノルマに掲げた1日2アンダーを2日連続でマーク。「ノンプレッシャーでするのが私にはいいかな」と無欲の姿勢は崩さない。15日に21歳になったばかり。大会前には厳しいと思われた07年の上田桃子(21歳156日)を更新する史上最年少戴冠が、はっきりと見えてきた。
イモるとは
◇イモる 元々は関西弁だが、最近はびびったり、緊張して物おじするという意味で若者が多用している。テレビゲームなどでは敵の攻撃を待ち伏せして迎え撃つときに引用される。
【データ】この日後半のインでボギーやダブルボギーを打たなかったのは、渋野、河本、ペ・ソンウ、ペ・ヒギョン、申ジエの5人。このうち初日のインもボギーなしだったのは渋野一人。改めて「バック9」の強さを実証した。8月のAIG全英女子オープンでも、4日間でボギーなしの18アンダーと後半の9ホールで圧倒的な強さを誇った。
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